ガッツの徒然日記

不定期で日々思ったことを徒然と書き綴ってます

辛口書評 「メンタル強化メソッド45」を斬る

おはようございます、もしくはこんにちは、またはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

前回に引き続き今回もスポーツメンタルトレーニングの本の書評です。

どんな書評になるかはタイトルでお察し下さい。

それでは行ってみましょう。

長く出版され続けている書籍第二弾

今回取り上げるのは 出版:実業之日本社 著者:浮世満里子

「スポーツで120%の力を出す!メンタル強化メソッド45」

です。

 

スポーツで120%の力を出す!メンタル強化メソッド45 [ 浮世満理子 ]

価格:1,320円
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感想(1件)

こちらも前回取り上げた「No.1メンタルトレーニング」と同じく、初版から長く出版され続けている(初版2013年3月)書籍です。

前回の反省(?)で長く出版され続けているからと言って名著とはいえないということは学びましたので、今回も慎重に読み進めました。

以下、感想と書評を綴っていきます。

どう捉えるかで点数が変わってくる書籍

こちらの書籍ですが、どういう書籍として見るかによって評価が変わってきます。

この本を自己啓発本」として読むならば100点に近い点が付くと思います。

特に難しい表現等がなく読みやすく、著者の実際の指導体験なども書かれており、非常にわかりやすい内容ではあると思います。

ですが、メンタルトレーニングの実用書として読もうとするなら、話が変わってきます。

メンタルトレーニングの実用書として読むならば、残念ながら他の書籍に比べて記載内容に不十分な部分が多く、点数をつけるなら30点ほどの点数しかつけられないというのが本音です。

詳しく見ていきましょう。

この本の結論は一つ

この本を読んでいて気になったのが、文中によく出てくるある言葉です。

その言葉とは

 

「自己肯定感」

 

です。

とにかく

「自己肯定感を上げよう」

「自己肯定感を〜」

といった言葉が頻繁に出てきます。

そして読んでいて思ったのが

「とにかく自己肯定感を上げて乗り切ろう」

というのが著者がこの本で言いたかったことなではないだろうか、ということです。

 

ゴールを示すのはいいがそこへ行くまでの過程に具体性がない

確かに自己肯定感を上げることは大事です。自己肯定感が低い人間よりも高い人間の方が、結果を残せる場合が多いと思います。

では、どうしたら自己肯定感を上げることができるのでしょうか?

同著に書かれている内容としては

・良いイメージを持とう

と言ったものがありますが、抽象的で漠然としています。

 

自己肯定感を高める為の根拠となるように、練習や小さな試合等で実績を残そう

ともあり、そのために

 

・プレッシャーや緊張を取り除こう

・集中しよう

・緊張しても生命の危機ではないとイメージして乗り越えよう

・理想のヒーロー像を思い浮かべてヒーローになったつもりで戦おう

と言ったことが書かれていますが、これもまた具体的な方法の提示のないものから、自己暗示的なものばかりで具体性、科学的エビデンスに欠けています。

例えば

「集中力を上げる」

ということ一つとっても、他の書籍には具体的な方法が書かれているものもあります。

ですが同著にはその

「方法」

が一切記載されておらず、ただ

「集中しよう」

と書かれているのみです。

具体的な方法の記載なしにただ「やれ」と書くだけでは、昭和の根性論となんら変わりません。メンタルトレーニングの知識は要りません。

また同著に書かれている内容は、数あるメンタルトレーニングの理論のほんの一部に過ぎません。自己肯定感を上げるにしても、ただ良いイメージを持つだけでは不十分です。自己肯定感を上げるためには自信を持つことが必要であり、自信を持つためには失敗と成功を繰り返し、強固なバックボーン・根拠を持つことが必要です。その為に多くのメンタルトレーニング理論が存在しています。それらの提示なしにただ

「自己肯定感を上げて乗り切れ」

というだけでは、実用書としては不十分です。

 

「メンタルトレーニングの実用書として読むなら30点」

と言ったのはその為です。

具体的な記載を

書籍を読んで実際の現場に活かそうと思ったら、具体的な方法の記載は欠かせません。

実用書として出すのであれば、やはり具体的な記載が必要です。

読みやすさを重視するあまりに、そう言った実用書としての大切な部分が同著は欠けているのではないでしょうか?

もっともそれは同著に限ったことではありません。他の多くの著書にも具体性に欠け、抽象的な表現が随所に見られるものが多いと感じています。

今一度メンタルトレーニングの本を出す方は、実用書として出す意味を考えて欲しいと思います。

一流アスリートのように、生まれた時から素晴らしい才能を持っていない人でも使えるような、より多くの人の役に立てるような、具体的記載の多い著書がもっと出てくれることを願います。