世界レベルの安全保障論入門 「世界標準の戦争と平和 初心者のための国際安全保障入門」
おはようございます、またはこんにちは、もしくはこんばんは、ガッツ(@guts_0773)です。
本日はちょっとタイムリーな話題に関する書籍のご紹介ですが、内容が賛否両論分かれる内容になるかと思います。
書評なので私の主観が入りますので、内容が気に入らないという方も出てくるかと思いますが、覚悟の上で書きたいと思います。
それではよろしくお願いします。
日本ではまず見ない世界レベルの安全保障の入門書
本日ご紹介する本は私が尊敬するジャーナリスト「烏賀陽弘道氏・著」「悠仁書院・発行」の
『増補新版 世界標準の戦争と平和 初心者のための国際安全保障入門』
です。
「尊敬してるジャーナリストだからって贔屓にしすぎじゃないか?」
と思われるかもしれませんが、烏賀陽氏の書籍はきちんと取材をして裏付けのある内容でどこに出しても間違いがないから、私も自信を持って推しているのです。
今回も全部取り上げるととんでもない長文になってしまうので、私が読んでいて気になった部分を取り上げていきます。
日本では語られない国際安全保障論
現在(2022/03/01時点)ロシアのウクライナ侵攻が連日ニュースで報道されており、私が同著を読もうと思ったのもそれがきっかけです。
Twitter等のSNSを見ていても、著名人から一般人まで幅広い方が上記のことに関して発言をされています。
この本でもロシアの海洋進出についての記述があり、同問題についても考察ができる非常に興味深い書籍でした。
で、書評を始める前に断っておきたいのですが、同著ではSNSで盛んに議論されている
「どちらが悪い」
「侵略は問答無用で『悪』である」
といった、善悪論、もっというなら物事を二極化して考えるような考え方は出てきません。
ですのでそういったものを期待している方はここから先を読むことは勧めませんし、同著の購入もやめておいた方がいいと思います。
同著の中にも出てきますが、安全保障を語るときに「善・悪」「左・右」といった二極論は最早時代遅れの考え方であり、安全保障論を語る上では正常な判断を阻害する障害でもあるからです。
では同著はどういった内容の本なのか。
同著は著者の烏賀陽氏がコロンビア大学大学院で学んだ国際安全保障論(軍事学・核戦略)の内容の中で、日本のニュース・マスコミでは語られない
「基本中の基本」
をなるべくわかりやすく解説したものである。
そのため前述したように「どちらが悪い」と言った二極論は出てきません。
公平な報道をするために最低限抑えておかねばならぬ
「必須事項」
が書かれているのが同著なのです。
地政学と安全保障論
同著を読んでいて書きたいことは山ほど出てきましたが、現在問題となってるロシアのウクライナ侵攻につながる問題として注目したいのが見出しに挙げた
「地政学」
という考え方である。
地政学とは
地理的条件の観点から政治や経済、軍事を分析するアプローチのこと
同著70ページより
とされており、国際安全保障を考える上での基本とされている。
そして同著が奇しくも地政学の例として挙げたのが、ロシアの地政学であった。
ロシアが歴史的にどう言った地理的条件を持っており、それによってどういった政策を取らざるを得なかったかが考察されている。
なので同著を読めば今回の
「なぜロシアはウクライナに侵攻したのか」
の一つの答えが出てしまう。
先にも挙げたがそこには
「侵攻をしたロシアが悪い」
という善悪論は出てこない。
地政学と同じく、安全保障において念頭に置かなければいけない
「核」
の問題と絡めて、深い考察がなされている。
そしてこういった観点からの考察、報道は私が知る限り日本では皆無である。
同著を読んだ上でのウクライナ問題の私見
そして、この本を読んだ上での私の私見を言うなら
「今回のロシアのウクライナ侵攻はロシアとウクライナの二国間の問題ではなく、世界中の様々な安全保障政策が重なり合った結果起きたもの」
となる。
同著を読んだ上で、ロシアを一方的に
「悪」
と言うことはできない。
もちろん武力による侵略は許されるものではないし、私も容認するつもりはない。
だが侵攻を仕掛けたロシアが一方的に悪いかというと、そうも言えない。
ロシアが武力侵攻に進んだ原因の一端は、各国の安全保障政策も複雑に絡んでいると思うからだ。
この問題を解決しようと思ったら、ロシアとウクライナの二国間だけでなく、両国を取り巻く安全保障に関わる関係各国の仲介と、協議による妥結が不可欠かと私は考えている。
これからの時代を生きる人はぜひ読んでほしい本
なぜ私が前項の結論に至ったのかは、説明するよりも同著を読んでいただいた方がおそらく早いと思うので、興味が出た方はぜひ手に取って読んでみてほしい。
また、今回はロシアのウクライナ侵攻というニュースがきっかけでしたが、同著の中には尖閣問題をはじめとした中国との領土問題のことや、北方領土問題など、この先の未来に進展があるであろう問題がケーススタディとして挙げられている。
この先の日本を生きる若い方ほど、この国の行く末を決める判断材料の一つとして是非ご一読をお勧めします。
なお以前にも挙げましたが、現時点(2022/03/01)では悠仁書院の書籍は同社のHPからしか購入できないので、ご購入はこちらのリンクからどうぞ↓
また著者の烏賀陽氏が毎週金曜日に行なっているYouTube番組、通称「ウガ金」の2022/02/25の配信にて、同著の内容を元にしたロシアのウクライナ侵攻について解説されてますので、興味のある方はこちらもどうぞ↓