子供の活字離れ・読者離れについて
皆様こんにちは。ガッツ(@guts_0773)です。
昨日読書感想文について愚見を述べさせていただきましたが、それに関連して学生時代本屋でアルバイトしていた時に本屋のある自治体が
「若者の活字離れを止め、本を読む習慣を身につけさせる」
という名目で行ってた政策があまりにも現実離れしていたので、今日はそれについてお話ししたいと思います。
(身バレする恐れがあるので市町村名は伏せさせていただきます)
果たして意味があるのだろうか?
その政策というのが目的として
子供たちが自ら書店で本を選び、購入することで、本を買うことの楽しみを感じ、読書意欲を貢献させる取り組み。
(当該自治体HPより)
というもので、中学二年生に自治体がお金を出して1500円以内の本を購入できるというものです。
もちろん本は何でもOKという訳ではなく選ぶ時の注意事項があって
①自分が読みたい本を選びます
②他人が読んでもためになったり、読んで良かったと思われたりする様な学級文庫としてふさわしいと思われる本を選びます。
③雑誌、漫画、写真集、マニュアル本、趣味などの実用書、暴力的な内容、静的な表現のあるものは避けます。
④ただし、文庫本は、上下巻・シリーズものでなくても合計1500円以内であれば2冊まで購入することができます。
(当該自治体HPより)
と言った制限があります。
バイトしてて現実を見た感想
結論から言ってしまえば「読書習慣の向上」という目的に対して効果はさほどでもないかなあというのが正直な感想です。
①注意事項すら読まないで買いに来る親子連れがちょいちょい居る
注意事項の中に
「マニュアル本、趣味などの実用書は避けます」
とあるのに明らかに野球部員とみられる子が親と一緒に
『バッティング技術向上マニュアル』
みたいな写真と図解がいっぱいの、明らかに文字数の方が少ない本を買おうとしていました。
『それはダメです。文章主体の小説や活字本にして下さい。』
と何回言ったことか。
で改めて持ってきたのが有名選手の野球理論本なんて時もありました。
「学級文庫としてふさわしいと思われる本」
って文字が読めんのか、と突っ込みたくなる気持ちを抑えて接客してましたね。
(明らかに野球部員という一部の人間にしかニーズのない、学級文庫にふさわしいと言えるか疑問符がつくチョイスながらも一応文章主体の活字本なので対応に非常に困りました・・・)
②ラノベとか有名映画の小説版を買う子の多いこと
買いに来る子の中で多かったのが
「ライトノベル」と「大ヒット映画の小説版」。
確かに小説ですから選定基準満たしてますけど
「学級文庫としてふさわしいと思われる本」
って観点から考えてどうなのかなぁ・・・。
あとこの政策、読んだ後にクラスメイトに作品のお勧めポイントを書いて提出する決まりになってたみたいなんですが、ライトノベルをお勧めする理由をどう書くつもりなのか疑問に思ってました。
「面白いから」
とか
「アニメが面白かったので原作を読んでみました」
みたいな感じで書く気なんでしょうか?
ライトノベルや映画等の小説化本を全否定する気はないですけど、こういう政策でこのチョイスだと読書というより映画やアニメを見ることの延長になっているとしか思えないんですよね・・・。
③同じ本を選ぶ子の比率が結構高い
上のラノベや有名映画の小説化本にも通じてきますけど、一日接客していると買っていく本が被ってるなんてことが結構ありました。
レジ打ちしてて
「またあの政策であのラノベ買ってった子がいたよ。」
なんてことがよくありました。
多少のかぶりは仕方のないことなのかも知れませんが、でも結構買われていく本に偏りはあった気がします。
逆にそんな中で太宰治とか夏目漱石とかの文学作品買っていく子は逆に目立ってましたね。
そういう子の方が発表会やった時に先生の目にも止まるんじゃないですかね?
ラノベ買っていって同じクラスで同じラノベ買った子がいて感想まで被っていたなんて言ったら、肩身が狭いと思いますよ。
④期限ギリギリで買いに来る子も結構いる
この政策ですが期限を区切って行われ、その期間内に買いにいかなければなりません。
夏休みの宿題をギリギリまでやらないで後でまとめてやる子がいるように、期限ギリギリになって慌てて買いに来る子も結構いました。
で、そんな子に限って上記①〜③になりやすかったです。
後今頃買って期限までにちゃんと読んでお勧めポイントちゃんと書けるの?って心の中で密かに突っ込んでました。
結局これも役人仕事なんじゃないの?
①〜④まで読んでいただいて薄々感じている方もいるかも知れませんが、この政策どうみても
「自ら書店で本を選んで購入することで本を買うことの楽しみを感じ読書意欲を向上させる」
っていう趣旨の実現ができているとは思えません。
私が本屋で接客してた限り
「そこまで読書に興味ないけど買わないといけないから、とりあえず適当に楽にできそうなやつ選ぼう。」
って感じで、面倒臭い課題を嫌々片付ける感じで取り組んでる子の方が圧倒的に多かった気がします。
あとは
「タダで本が買えるけど漫画とかはダメだから自分の役に立つ本を買おう。」
って買いたい本はあるけどルールに合わなくって、仕方なしに妥協して別な本を買っていく子もいる印象でした。
結局はこれも、中年の集団が現代の中学生の置かれている状況も、実際の中学生の声も聞かずに、一方的に「こうだろう」と想像して考えた結果なんじゃないかなあと思います。
コンビニスイーツの新商品の開発会議を中年のオッサンだけでやるようなもんです。
要は当事者意識が圧倒的に不足しているんです。
だからこんな的外れな結果になって、金の無駄遣いでは?ってあり様になるんです。
本当に読書意欲を向上させようと思ったなら
前回の読書感想文の際にも書きましたが先ずは
『世の中の色んなことに疑問を持ち自分で考えるクセをつけること』
つまり
『新しいことを知りたいという欲を刺激すること』
が必要です。
また現代ではインターネットの発達で調べよと思ったらスマホ一つでちょっと調べれば簡単にできちゃう時代です。
そんな時代に本を読んでもらうにはどうしたら良いか?
先ずはインターネット情報の信憑性について教えることです。
ネットの情報というのは物にもよりますが信憑性がかなり怪しいものも多いです。
特に若い子が使いそうなWikipediaであったりYahoo知恵袋なんて最たるものです。裏付けにないことを平気で書いたり、ろくに調べないで自分の主観のみで書いてあるものなんてザラです。
最近は残念なことに書籍の中にもそう言った裏付けのないもの、ろくに調べもせずに書面になっているものも少なからずありますが、少なくとも下手なネットの情報よりは信頼性は高いです。
キチンとした文章や証拠を集めようと思ったらネットより本でということを教えてあげて、本に向かう機会を増やしてあげることが必要です。
後はTwitterなどのSNSやYouTube動画などに対する考え方についても見直す機会が必要だと思います。
Twitterに代表されるSNSは一回に送れる文字数が非常に少ないため、要点のみが書かれることの方が多く、文章を「読む」というより「見る」感覚に近い気がします。それで文章を読んだ気になってしまうというのは非常に危ういことです。結論に至るまでにどのようなプロセスを踏んできたのか、その結論に至った経緯を知った上で結論を知ることができてこそ文章の理解度も増すのではないでしょうか。
それから昨今ですとYouTubeなどの動画サイトで情報発信している方も多いですが。それも一長一短あると思います。学校の授業のように図解しながらわかりやすく解説してくれているものや、十分な取材の上で発信しているものもありますが、そうでないもの多いです。
また動画を見ただけで理解した気になりやすいと言う部分もあると思います。
つまり動画を見ただけで自分の頭で考えた気分に陥りやすいと言う点です。
動画を見た上で
「自分はこう思う」
と考えを発展させられれば良いんですが、そう言った動画は図解等も多いのでわかりやすい反面動画を見て
「あ、そうなんだ」
と何も考えることなく、動画の内容を受け入れただけで終わってしまいがちです。
これは書籍の場合も変わりませんが、情報を入れた上で自分で考えることが大事だと思います。
そしてもう一点、紙媒体の書籍と違って目次が有りません。なので参考としたい場面までまた最初から観ないといけないという手間がありますし、書籍のように付箋を貼っておくこともできないので資料として使うのには非常に手間です。
そう言った点では簡単に該当部分に戻ることができて、情報としての信憑性の高い書籍の方が圧倒的に有利です。
このような書籍の有益性を教えていくことも必要だと思います。
結局最終的に求められるのは・・・
最終的には
『様々なことに疑問を持ち自分で考えるクセ』
と
『ネットになくて書籍にはある情報もある事』
を子供達に理解してもらう事だと思います。
後は興味のある分野には積極的に色んな方向にアンテナを立てて、情報を入れようとする姿勢を持つことです。
興味のあることを探求していこうとすれば自然と色んな方向に目を向けていくことになります。時代が時代ですのでネット中心になることは避けられないでしょうが、例えばそんな中でも本屋に行って
ネットで見たことがない内容の本と出会う
→読んでみて新しい世界が広がった
→これからは書籍にも目を向けてみよう
となってくれれば後は自然と本に対する興味も湧いてくると思います。
要は
本に触れ合う、興味を持ってくれるきっかけを如何にして作れるか
これに尽きると思います。
長文にお付き合いいただいありがとうございました。」