ガッツの徒然日記

不定期で日々思ったことを徒然と書き綴ってます

忖度なしのガチンコ報道 「完本 福島第一原発メルトダウンまでの50年」

おはようございます、またはこんにちは、もしくはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

本日ご紹介する本は、福島第一原発事故をずっと取材し続けている、私が尊敬するフリージャーナリスト「烏賀陽弘道さん」の著書

完本 福島第一原発メルトダウンまでの50年(出版・悠人書院)です。

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こちらは元々2016年に明石書店から出版されて絶版となっていたものを、新たなインタビュー記事を加えて増補して出版されたものになります。

原発事故から10年が経ち、日に日に原発に対する報道も3・11以外はされなくなってしまいましたが、今でもこの国は原子力緊急事態宣言が出された状態が継続されている状態です。

そのことを報道する機関がないためみなさんの関心も薄れてしまっているかもしれませんが、同著はそう言った現状を憂い、原発事故を風化させないためにこの度復刻されたものです。

メディアが流さない、リアルな現実

本来であればまず同著の要約をするところであるが、今回はしない。

というより、できない。

テレビや新聞といったメディアで流れることのない、実際に現地へ赴き、自らの目で見て、現地の人に、当事者に聞かなければわからない、現場の生の声が500ページに渡って書かれているからだ。

同著に書かれていることの全てが、一般のメディアを見ているだけでは得られない

「リアル・現実」

だからだ。

組織に属している会社員記者では絶対に書くことのできない、フリーのジャーナリストだからできた真実の追求の結晶が同著だからだ。

強いて要約するならば

「メディアでは絶対に語られることのない本当の真実」

が書かれているのが同著である。

当事者にインタビューして聞いたからこそ浮かび上がってきた真実

もう少し詳しく見ていこう。

同著の特徴的なのは、原発事故のみならず、原発に関わる人間に一人でも多く取材をし、事実の解明に徹底的に迫っているところにある。

 

みなさんは原発事故の当事者(被災者は除く)というと誰を思い浮かべるだろうか?

多くの方は、当時の首相・菅直人議員や当時福島第一原発の所長であった故・吉田所長や、東京電力の関係者を思い浮かべるかと思う。

では、事故後彼らに取材を続けたメディアはあっただろうか?

答えは「否」である。

今年の3月に、10年の節目でインタビューするメディアは多少なりともあったが、多くのメディアで放送されるのは当時の事故の悲惨さや、メディアに注目されやすい、ごく一部の被災者の悲しみばかりで

「なぜ、あの人類史上稀に見る未曾有の事故が起きたのか?」

に追求するメディアは皆無である。

対して同著では数多くの当事者の元へ赴き、綿密なインタビューを行い、事故の真実に迫ろうとしている。

それを象徴するのが2016年に行われ、今回新たに書き加えられた

当時の内閣総理大臣菅直人

官僚側の中心人物である元原子力安全・保安院次長の平岡英治氏

へのインタビューである。

この二人に2016年という震災後5年の時点でインタビューした記事は、なかなか無いのでは無いだろうか。

 

また同著は上記二人のみならず

・当時の原発周辺の自治体の首長(富岡町双葉町

原発の緊急時の管理システムの設計者

・電力会社の事故対策システムの設計・運用の責任者

原発事故と住民避難の危険を警告し著書に認めていた元消防署長

といった、大手メディアが取り上げないようないわゆる「裏方」と呼べるような方々を見つけ出し、インタビューし証言をもらっているのだ。

(補足として、今回の著書は事故原因の究明という点で原発関係者中心にインタビューしているが、著者である烏賀陽氏はこうした裏方の人間のみならず、多くの被災し避難されている方々にもインタビューをし、取材を続けていることを付け加えておく。)

多くの証言者へのインタビューから見えてきたこと

多くの証言者の方々のインタビューを経て浮かび上がってきたのは

原発事故あそこまで被害が広がった背景には日本の人的問題やシステム的問題などが幾重にも重なっていたのが原因

福島原発の事故の悲劇は約50年前、あの場所に原発を建設することが決まった時点で既に始まっていた

という点である。

全てを詳しく書こうとすると、とんでも無い長文になってしまうので、今回は割愛させていただく。

だが一言だけ書かせてもらうなら、長年積み重ねられた甘い見通しや日本独特のシステムの弊害が重なった結果が、あの最悪の事故を招いてしまったということだ。

「たられば論」で語っても、失われた命や破壊された故郷は帰ってこない。

しかし

「あの時点であんな変更をしなければ」

「あの時こう判断していれば」

と思わされる点が、読んでいて何点も出てきた。

詳細を知りたいという方、マスコミが言わない福島の現実を知りたいという方は、ぜひ同著をお手に取っていただきたい。

事故を風化させないために

2021年、世界的なコロナウイルス拡大の影響を受けて延期された「東京五輪」が開催された。

招致当時「東日本大震災からの復興五輪」と銘打たれた同五輪であったが、蓋を開けてみれば

「福島」

は完全に忘れ去られ、全くといっていいほど触れられることなく終わってしまった。

日本中が五輪で浮かれている裏で、今も震災によって故郷を奪われ、風評被害に遭っている被災者や、廃炉に向けて危険な事故現場で働く人々がいることを忘れてはならない。

そうした現実を忘れないためにも、また日本中に設置された50基を超える原発で、再びあの悲劇を繰り返さないためにも、同著が一人でも多くの人に読まれることを願います。

 

 

 

なお、同著は一般書店やAmazon等のネット量販には流通しておらず、悠人書院HPのみでの販売となっております。

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なおもらっていない、烏賀陽氏からも悠人書院からも、一円も・・・・・・・。