ガッツの徒然日記

不定期で日々思ったことを徒然と書き綴ってます

読書のススメ5冊目 うつ病の入門書に最適 「軽症うつ病」

おはようございます、またはこんにちは、もしくはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

前回から少々間が空いてしまいましたが、皆様いかがお過ごしだったでしょうか?

私の方は年明けから転職活動が少々バタついておりまして、読書も一時中断しておりましたが、落ち着いたので再開した次第です。

では本日もよろしくお願いします。

わかりやすい、うつ病の入門書

というわけで、再開後の一発目は

著:笠原嘉 出版:講談社現代新書

「軽症うつ病」です。

 

軽症うつ病 (講談社現代新書) [ 笠原 嘉 ]

価格:946円
(2022/1/18 15:52時点)
感想(3件)

こちらは以前書評した「『うつ』は病気か甘えか。(村松太郎著・幻冬舎)」のなかで「うつ病の名著」として紹介されていた書籍です。

 

guts-create.hatenablog.com

 

たまたま入った中古書店で見かけたので「どれほどのものなのか」と思い購入しました。

実際読んでみるとわかりやすく、具体例も多く記されており、確かに「名著」と思わされる内容でした。

以下、詳しく述べていきます。

「軽症」とされているが実際は立派なうつ病に当てはまる

同著が刊行されたのが1996年の2月、今から20年以上も前の本であり、当時はまだ「うつ病」という病自体が現代ほどメジャーではなかった時代である。

そのような時代に著者が日々の診療の中で

「若い方にも軽度のうつ病が増えている」

という実感から書かれたのが同著である。

読んでみて感じたのが、当時は「軽症」と判断されていたが、現代では重度とまではいかないが立派に「うつ病」として診断できる分類のうつ病を、具体例を挙げわかりやすい言葉で綴っている点である。

特に著者が

「軽症うつ病の診断のために使用している18の質問」

は現代のうつ病の病状の特徴とほぼ一致しており、私自身の体験からも「軽症」ではなく、「うつ病」の診断項目として捉えていいと思う内容になっている。

「病」から「障害」への呼び換えの提言

次に読んでいて気になった点が、うつ病を「病」ではなく「障害」として捉えるように提言している点である。

これは当時の米国の最新の診断基準を元に提言されているのだが、今までいつくもうつ病の本は読んできたが「どうやって治すか」という本は数多かれど

「うつは病ではなく障害である」

と言っている書籍はこれが初めてだった。

これによって著者は

「うつは不治の病という誤解や偏見を無くしたい」

と主張している。

正直私も適応障害がなかなか良くならず、うつ病に悪化してしまった時に、治療を続けてもなかなかよくなる実感が湧かず、不安になったものである。

会社からも

「お前の精神が弱いからだ」

「そんなのはお前の甘えだ」

と、時代遅れなことも言われ

「本当に治るのか」

「再発率も高いというし、大丈夫だろうか」

と追い討ちをかけるような落ち込みをすることもあった。

だが、この言葉をはじめとして同著を読んでいると、早期に適切な治療を行えば対処できるものだと実感できた。

何よりも

この病気が人間の「人格」全体の病ではなく「気分」という一心的機能に限局した障害である(同著156ページより)

という言葉は、誰にでも起こりうるものであり、患者当人に非はないと手を差し伸べてくれているようで嬉しかった。

同著に見える先見の明

同著を読んでいてもう一つ気になったのが、職場などの環境との関係で起こる障害について触れている点である。

同著で取り上げられているのは

「人間が社会生活にうまく適応できなくなることが原因となって起こる障害」

である。

こう言われると直ぐにピンとくる方もいるかと思いますが、現代ならばこれは

適応障害

と診断される障害である。

今でこそ皇后雅子様や多くの著名人が発症したことで名が知られるようになったが、1996年当時、それこそうつ病以上に適応障害は知られていなかった障害である。

それをいち早く取り上げ、うつ病とは違った気分障害として記述し、対処方法まで記されている点は非常に先鋭的で先見の名があったといえる。

気分障害と言われたら真っ先に読んでほしい本

同著は20年以上前に書かれたとは思えないほど、的確にうつ病をはじめとした気分障害についてわかりやすく記されており、信頼性の高いものとなっている。

気分障害と診断されて落ち込む方や、偏見を受ける方もいらっしゃると思うが、そう言った方はぜひ同著を読んでほしい。決して悲観的になることや落ち込むことではないと、背中を押してくれると私は思っている。

また同僚や身近な人が気分障害と診断された、という方にも是非読んでほしい。同著にもあるが気分障害の治療と再発防止には周囲の理解が必要不可欠である。同著を読んで気分障害に対する偏見を取り去るとともに、治るものとして患者に理解を示し協力してほしい。

惜しいのはこのような名著が絶版となってしまっていることであるが、電子版で読むことができるので一人でも多くの人にこの本が読まれることを願います。

 

軽症うつ病 「ゆううつ」の精神病理【電子書籍】[ 笠原嘉 ]

価格:825円
(2022/1/18 17:08時点)
感想(0件)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお貰っていない、講談社からは、一円も・・・・・・・。

忖度なしのガチンコ報道 「完本 福島第一原発メルトダウンまでの50年」

おはようございます、またはこんにちは、もしくはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

本日ご紹介する本は、福島第一原発事故をずっと取材し続けている、私が尊敬するフリージャーナリスト「烏賀陽弘道さん」の著書

完本 福島第一原発メルトダウンまでの50年(出版・悠人書院)です。

f:id:Guts-zannenkai:20211218142715j:plain

こちらは元々2016年に明石書店から出版されて絶版となっていたものを、新たなインタビュー記事を加えて増補して出版されたものになります。

原発事故から10年が経ち、日に日に原発に対する報道も3・11以外はされなくなってしまいましたが、今でもこの国は原子力緊急事態宣言が出された状態が継続されている状態です。

そのことを報道する機関がないためみなさんの関心も薄れてしまっているかもしれませんが、同著はそう言った現状を憂い、原発事故を風化させないためにこの度復刻されたものです。

メディアが流さない、リアルな現実

本来であればまず同著の要約をするところであるが、今回はしない。

というより、できない。

テレビや新聞といったメディアで流れることのない、実際に現地へ赴き、自らの目で見て、現地の人に、当事者に聞かなければわからない、現場の生の声が500ページに渡って書かれているからだ。

同著に書かれていることの全てが、一般のメディアを見ているだけでは得られない

「リアル・現実」

だからだ。

組織に属している会社員記者では絶対に書くことのできない、フリーのジャーナリストだからできた真実の追求の結晶が同著だからだ。

強いて要約するならば

「メディアでは絶対に語られることのない本当の真実」

が書かれているのが同著である。

当事者にインタビューして聞いたからこそ浮かび上がってきた真実

もう少し詳しく見ていこう。

同著の特徴的なのは、原発事故のみならず、原発に関わる人間に一人でも多く取材をし、事実の解明に徹底的に迫っているところにある。

 

みなさんは原発事故の当事者(被災者は除く)というと誰を思い浮かべるだろうか?

多くの方は、当時の首相・菅直人議員や当時福島第一原発の所長であった故・吉田所長や、東京電力の関係者を思い浮かべるかと思う。

では、事故後彼らに取材を続けたメディアはあっただろうか?

答えは「否」である。

今年の3月に、10年の節目でインタビューするメディアは多少なりともあったが、多くのメディアで放送されるのは当時の事故の悲惨さや、メディアに注目されやすい、ごく一部の被災者の悲しみばかりで

「なぜ、あの人類史上稀に見る未曾有の事故が起きたのか?」

に追求するメディアは皆無である。

対して同著では数多くの当事者の元へ赴き、綿密なインタビューを行い、事故の真実に迫ろうとしている。

それを象徴するのが2016年に行われ、今回新たに書き加えられた

当時の内閣総理大臣菅直人

官僚側の中心人物である元原子力安全・保安院次長の平岡英治氏

へのインタビューである。

この二人に2016年という震災後5年の時点でインタビューした記事は、なかなか無いのでは無いだろうか。

 

また同著は上記二人のみならず

・当時の原発周辺の自治体の首長(富岡町双葉町

原発の緊急時の管理システムの設計者

・電力会社の事故対策システムの設計・運用の責任者

原発事故と住民避難の危険を警告し著書に認めていた元消防署長

といった、大手メディアが取り上げないようないわゆる「裏方」と呼べるような方々を見つけ出し、インタビューし証言をもらっているのだ。

(補足として、今回の著書は事故原因の究明という点で原発関係者中心にインタビューしているが、著者である烏賀陽氏はこうした裏方の人間のみならず、多くの被災し避難されている方々にもインタビューをし、取材を続けていることを付け加えておく。)

多くの証言者へのインタビューから見えてきたこと

多くの証言者の方々のインタビューを経て浮かび上がってきたのは

原発事故あそこまで被害が広がった背景には日本の人的問題やシステム的問題などが幾重にも重なっていたのが原因

福島原発の事故の悲劇は約50年前、あの場所に原発を建設することが決まった時点で既に始まっていた

という点である。

全てを詳しく書こうとすると、とんでも無い長文になってしまうので、今回は割愛させていただく。

だが一言だけ書かせてもらうなら、長年積み重ねられた甘い見通しや日本独特のシステムの弊害が重なった結果が、あの最悪の事故を招いてしまったということだ。

「たられば論」で語っても、失われた命や破壊された故郷は帰ってこない。

しかし

「あの時点であんな変更をしなければ」

「あの時こう判断していれば」

と思わされる点が、読んでいて何点も出てきた。

詳細を知りたいという方、マスコミが言わない福島の現実を知りたいという方は、ぜひ同著をお手に取っていただきたい。

事故を風化させないために

2021年、世界的なコロナウイルス拡大の影響を受けて延期された「東京五輪」が開催された。

招致当時「東日本大震災からの復興五輪」と銘打たれた同五輪であったが、蓋を開けてみれば

「福島」

は完全に忘れ去られ、全くといっていいほど触れられることなく終わってしまった。

日本中が五輪で浮かれている裏で、今も震災によって故郷を奪われ、風評被害に遭っている被災者や、廃炉に向けて危険な事故現場で働く人々がいることを忘れてはならない。

そうした現実を忘れないためにも、また日本中に設置された50基を超える原発で、再びあの悲劇を繰り返さないためにも、同著が一人でも多くの人に読まれることを願います。

 

 

 

なお、同著は一般書店やAmazon等のネット量販には流通しておらず、悠人書院HPのみでの販売となっております。

ご購入はこちらから↓

macutio20016.wixsite.com

 

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なおもらっていない、烏賀陽氏からも悠人書院からも、一円も・・・・・・・。

 

辛口書評 「メンタル強化メソッド45」を斬る

おはようございます、もしくはこんにちは、またはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

前回に引き続き今回もスポーツメンタルトレーニングの本の書評です。

どんな書評になるかはタイトルでお察し下さい。

それでは行ってみましょう。

長く出版され続けている書籍第二弾

今回取り上げるのは 出版:実業之日本社 著者:浮世満里子

「スポーツで120%の力を出す!メンタル強化メソッド45」

です。

 

スポーツで120%の力を出す!メンタル強化メソッド45 [ 浮世満理子 ]

価格:1,320円
(2021/12/11 14:01時点)
感想(1件)

こちらも前回取り上げた「No.1メンタルトレーニング」と同じく、初版から長く出版され続けている(初版2013年3月)書籍です。

前回の反省(?)で長く出版され続けているからと言って名著とはいえないということは学びましたので、今回も慎重に読み進めました。

以下、感想と書評を綴っていきます。

どう捉えるかで点数が変わってくる書籍

こちらの書籍ですが、どういう書籍として見るかによって評価が変わってきます。

この本を自己啓発本」として読むならば100点に近い点が付くと思います。

特に難しい表現等がなく読みやすく、著者の実際の指導体験なども書かれており、非常にわかりやすい内容ではあると思います。

ですが、メンタルトレーニングの実用書として読もうとするなら、話が変わってきます。

メンタルトレーニングの実用書として読むならば、残念ながら他の書籍に比べて記載内容に不十分な部分が多く、点数をつけるなら30点ほどの点数しかつけられないというのが本音です。

詳しく見ていきましょう。

この本の結論は一つ

この本を読んでいて気になったのが、文中によく出てくるある言葉です。

その言葉とは

 

「自己肯定感」

 

です。

とにかく

「自己肯定感を上げよう」

「自己肯定感を〜」

といった言葉が頻繁に出てきます。

そして読んでいて思ったのが

「とにかく自己肯定感を上げて乗り切ろう」

というのが著者がこの本で言いたかったことなではないだろうか、ということです。

 

ゴールを示すのはいいがそこへ行くまでの過程に具体性がない

確かに自己肯定感を上げることは大事です。自己肯定感が低い人間よりも高い人間の方が、結果を残せる場合が多いと思います。

では、どうしたら自己肯定感を上げることができるのでしょうか?

同著に書かれている内容としては

・良いイメージを持とう

と言ったものがありますが、抽象的で漠然としています。

 

自己肯定感を高める為の根拠となるように、練習や小さな試合等で実績を残そう

ともあり、そのために

 

・プレッシャーや緊張を取り除こう

・集中しよう

・緊張しても生命の危機ではないとイメージして乗り越えよう

・理想のヒーロー像を思い浮かべてヒーローになったつもりで戦おう

と言ったことが書かれていますが、これもまた具体的な方法の提示のないものから、自己暗示的なものばかりで具体性、科学的エビデンスに欠けています。

例えば

「集中力を上げる」

ということ一つとっても、他の書籍には具体的な方法が書かれているものもあります。

ですが同著にはその

「方法」

が一切記載されておらず、ただ

「集中しよう」

と書かれているのみです。

具体的な方法の記載なしにただ「やれ」と書くだけでは、昭和の根性論となんら変わりません。メンタルトレーニングの知識は要りません。

また同著に書かれている内容は、数あるメンタルトレーニングの理論のほんの一部に過ぎません。自己肯定感を上げるにしても、ただ良いイメージを持つだけでは不十分です。自己肯定感を上げるためには自信を持つことが必要であり、自信を持つためには失敗と成功を繰り返し、強固なバックボーン・根拠を持つことが必要です。その為に多くのメンタルトレーニング理論が存在しています。それらの提示なしにただ

「自己肯定感を上げて乗り切れ」

というだけでは、実用書としては不十分です。

 

「メンタルトレーニングの実用書として読むなら30点」

と言ったのはその為です。

具体的な記載を

書籍を読んで実際の現場に活かそうと思ったら、具体的な方法の記載は欠かせません。

実用書として出すのであれば、やはり具体的な記載が必要です。

読みやすさを重視するあまりに、そう言った実用書としての大切な部分が同著は欠けているのではないでしょうか?

もっともそれは同著に限ったことではありません。他の多くの著書にも具体性に欠け、抽象的な表現が随所に見られるものが多いと感じています。

今一度メンタルトレーニングの本を出す方は、実用書として出す意味を考えて欲しいと思います。

一流アスリートのように、生まれた時から素晴らしい才能を持っていない人でも使えるような、より多くの人の役に立てるような、具体的記載の多い著書がもっと出てくれることを願います。

 

辛口書評 「No.1メンタルトレーニング」は果たしてNo.1なのか

おはようございます、またはこんにちは、もしくはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

本日のテーマは「スポーツメンタルトレーニング」です。

私自身学生時代(と言っても20年前ですが)、部活でなかなか結果が出せずにいたのを、スポーツメンタルトレーニングに出会って結果を残すということに成功した経験があるのですが、その頃に比べて今は「スポーツメンタルトレーニング」「メンタルトレーニング」をテーマにした本も数多く出回るようになりました。

そこで本屋に並んでいるスポーツメンタルトレーニングの本を何冊か選んで読んでみたのですが、当時と内容がかなり変遷してきているので、内容についてレビューしていきたいと思います。

なお今回も辛口で書評させていただきます。

発売から10年経った今も書店に並ぶ本だが・・・

今回取り上げる本は 出版・現代書林 著・西田文郎 「No.1メンタルトレーニング」です。

 

No.1メンタルトレーニング 本番で最高の力を発揮する最強の自分をつくる [ 西田文郎 ]

価格:1,980円
(2021/12/3 15:05時点)
感想(57件)

大体の本というのが、発売から何年かすると(早いものでは2〜3年で)絶版になって消えていってしまうものですが、こちらは初版が2010年と10年以上前の本なのに対し、いまだに書店の店頭に並んでいます。

Amazon等のレビューも高評価が多く、さぞわかりやすく実践的な本なのだろうと思い購入して読んでみました。

 

 

 

ですが読んでガッカリしました。

 

果たしてこの本でメンタルが強化でき、本番で結果が残せるのか?

そう思わざるを得ない内容でした。

以下で詳しくみていきます。

内容が薄い

この本に書いてあることを要約するなら三行で終わりです。

 

①プラス思考や前向きな言葉等を繰り返すことで脳を騙し、自分をポジティブに変える

②気を溜め、気を練り、気を締め、気を爆発させる

③最高の精神状態であるゾーンに持っていく

 

細かな説明が250ページ近く書いてありますが、この本が言いたいことはこの三点です。

 

これのどこが「メンタルトレーニング」なのだろうか。

どこかの怪しい自己啓発セミナーか何かかと疑った次第です。

 

確かに読んでいて文中に

「ルーティーンによる気持ちの切り替え・集中」

「自己成長のための目標の正しい立て方」

など、他のメンタルトレーニングの書籍に見られる記述も見られました。

 

だが大半を占めるのは、脳と心の関係性と

「気を溜め、気を練り、気を締め、気を爆発させる」

という著者が主張する『三気法』と呼ばれる手法となっている。

 

早い話、脳科学独自の精神論で構築されており、メンタルトレーニングとはおよそ呼べない内容となっているのだ。

この方法は読者に通用するのか

実用書において大切なのは

「どれだけ読んだ人の役に立てるか」

という点である。

そう言った観点でこの本を読んだ時、どうであろうか?

 

まずは先に挙げた

 

①プラス思考や前向きな言葉等を繰り返すことで脳を騙し、自分をポジティブに変える

 

について考えてみよう。

これについては正直、異を唱えたい。

なぜなら、全ての人がポジティブな言葉や行動でポジティブになれるとは限らないからだ。

確かに根拠のない自信で前向きになれる人間もいる。そういう人なら、ポジティブな言葉や行動を続けることでポジティブにもなれるだろう。

だが世の中そんな人間ばかりではない。

私もそうであるが、毎日の失敗と成功の積み重ねを経て自信に繋げ、結果ポジティブになる人間だっている。

そう言った人間にはこの手法は効きにくい。

最初のポジティブな言葉を投げかけた段階で、言葉に自信が持てず、疑問を抱き、言葉を受け入れられないからだ。

具体性に欠けるのもを伝えるのは困難

次に

②気を溜め、気を練り、気を締め、気を爆発させる

というこの本独自の手法「三気法」について考えてみる。

 

これについても途中途中に他のメンタルトレーニングの本に出てくるテクニック

腹式呼吸による過緊張の緩和

・理想のフォーム等をイメージして身体に変化を起こすイメージトレーニン

といったものも出てくるのだが、一方で

「身の回りから『気』を取り込む」

「『感動力』が気を沸き上がらせる」

「身の回りの人への『感謝』が気につながる」

などスピリチュアルで抽象的な表現も多い。

私が読んだ感想から考えられる答えとしては、他の書籍に書いてある

「モチベーションの維持」

「イメージトレーニングによる理想状態の体現化・本番と練習の境界を無くすことによる過緊張の防止」

「ベストパフォーマンスの再現による能力向上」

にあたるのではないか?との推測はできた。

だがそれが正解との確証が持てなかった。

 

要はこの本を読んだだけでは

 

「三気法」の正確な実現

 

ができないのだ。

正確に実現できないのなら使うことはもちろんできない。

認識が間違っている

では残った

 

③最高の精神状態であるゾーンに持っていく

 

はどうか。

これについては著者が主張する定義に明らかな間違いがある。

著者はゾーンのことを同著の中で

集中とリラックスという一見反対のものを同時に実現すること

と説明しているが

 

「リラックス」の反対は「緊張」

 

である。

そしてこの「リラックス」と「緊張」の関係性(同時に実現させること)は他の書籍では

 

「理想の集中状態」

 

の説明で使われている。

 

この文から読み解く限り、著者のスポーツ心理学の理解度は曖昧であり、誤解を抱えたまま独自の理論を展開していると言わざるを得ない。

正解は一つではない

著者は同著で

「三気法」はゾーンの特徴である集中とリラックスを同時に実現する方法である

と言っているが、前項で挙げたように「ゾーン」=「理想の集中状態」とするならば、『三気法』などという抽象的でわかりにくい方法を使う必要などない。

他のメンタルトレーニングの書籍には、集中力を高めるための方法を具体的に書いたものなどいくらでもある。それを読んで実践すればいいのだ。

わざわざ抽象的でわかりにくい「三気法」などという、訳のわからないものをやる必要など全くない。

そもそも

「最高の状態に持っていくには『これをやればいい』という唯一絶対の答えを提示する」

のが間違っているのだ。

万人に通用するメンタルトレーニングなど存在はしない。誰にでも通用する方法なんてあったら、今頃日本中世界チャンピオンだらけだ。

だが現実はそうではない。同じことをやってもうまくいく人間とそうでない人間がいる。当たり前である。皆生まれも育ちも違う人間なのだから。

10人いれば10通りのメンタルトレーニングの仕方がある。その人にあったメンタルトレーニングを数多くの理論の中から選び、実践し、パフォーマンスを上げていく。そのために多くのスポーツ心理学理論があり、メンタルトレーナーがいるのだ。そのことを忘れてはならない。

 

そう言った点から見れば、残念ながら同著に「No.1」の称号は相応しくない。

 

 

 

 

 

辛口書評 『「うつ」は病気か甘えか。』を読み解く

おはようございます、またはこんにちは、もしくはこんばんは。ガッツ(@guts_0773))です。

以前のブログで会社を退職させられた際に会社の管理職に

「今はメンタルヘルス不調をカミングアウトしても許されやすい世の中となったために、逆に通常社会で抱える程度のストレスを病と捉えてしまう傾向になっているのも事実である。」

と言われたが

「調べてもそんな言説を謳う書籍等は見つからなかった」

と書きましたが、先日図書館に行ったっ祭に精神医学のコーナーを覗いていたところ、上記言説と同じことを言っている書籍を発見いたしました。

まずはこの点につきまして、以前「そんなことを言ってる書籍等は無い」と言い切ってしまったことについて、訂正しお詫び申し上げます。

しかし、いざその本を読んでみたら色々とツッコミどころ満載でしたので、今日はその書籍を考察していきたいと思います。

うつ病は甘えなのか、病気なのか

今回紹介する本は、著・村松太郎 『「うつ」は病気か甘えか。』(出版・幻冬舎)です。

 

「うつ」は病気か甘えか。 今どきの「うつ」を読み解くミステリ [ 村松太郎 ]

価格:1,650円
(2021/11/30 14:15時点)
感想(1件)

同著は医師としても働く慶應大学医学部精神学科准教授、村松太郎氏が普段の診察から現代のうつ病増加の要因の一つとして、現在の日本の精神科医料の問題点を挙げ、それによって本来ならうつ病とされないような人までうつ病と診断されてしまっているという視点から、タイトルにもあるようにうつ病と甘えにつて考察した本である。

率直な感想として、読んでいて納得させられるような部分も確かにあった。前の会社の管理職が言った言葉と同じようなニュアンスの表現も随所に出てきた。現場の医師としての意見として「現実として受け止めても」と思った部分も確かにあった。

ただし

「途中までは」

である。

全体を通して見たときにこの本には、矛盾する部分や信憑性に欠けると思わされる部分がいくつも出てきたのだ。

以下、一つずつ考察していく。

著者の主張にはエビデンスが乏しい部分がある

同著の主張として、うつ病患者が増えている原因の一つとして

・うつの治療はまずは話を聞くことであるが、そこには主観至上主義があり、あくまで患者本人の主観を元に治療がなされていく

ヒポクラテスの誓い(患者の利益を第一とし、患者に加害を加えたり不正を働かない)が現代ではバイアス(思考の偏り)となってしまっていて、上記主観至上主義と相まって患者の要望が第一のような考え方になってしまっている

ということが挙げられている。

結果

「本来ならうつ病とされない人もうつ病と診断され、うつ病患者が増加している」

というのが著者の主張である。

 

うつ病をはじめとした精神疾患患者が増加しているというのは紛れもない事実である。それは私自身も厚労省のHPなどでも確認した。この点についてはしっかりとしたエビデンスがある。

では、著者が主張するような

「本来ならうつ病とされない人もうつ病と診断され、うつ病患者が増加している」

という主張はどいうか。

こちらは残念ながら明確なエビデンスがない。同著の中にも提示されていない。

考えてみれば当たり前である。その病状が、「甘え」であるかどうかの判断の明確な線引きは存在しない。結局は患者の供述と医師の経験や知識を元にした主観で判断される。

著者はその点については前述のヒポクラテスバイアスと主観至上主義を原因として反論している。だがこれは著者の主観による発言にすぎない。

同著執筆のきっかけは病院外来や産業医としての仕事、講演会での質問や公式・非公式にうけた相談から、うつ病でない人があまりにも多いという実態だ。

とも挙げているが、これもまた著者の主観によるものである。

そして、驚くことに著者は同著で自らの発言をひっくり返すような発言をしている。

(なぜそのような発言が出たのかは後述する)

線引きの丸投げ

同著第七章で著者はこのように記している。

病気か甘えかは社会常識で決めてください

「判断基準は社会常識で」となるとどういうことが起こるのか。

当然ながら社会常識とは日々変化していくものである。今日の常識は明日の非常識になりかねない。逆もまた然りだ。

これを同著のタイトル『「うつ」は病気か甘えか。』に当てはめて考えてみれば

『今日までは「甘え」として認められなかったものが、何かをきっかけにして明日からは「うつ病」として認定される。』

なんてことが起きたってなんの不思議もない。

 

「病気か甘えかは社会常識で決めてください」

 

この言葉を出した時点で、同著のタイトル『「うつ」は病気か甘えか。』は完全に崩壊してしまっている。自ら答えを出すことを放棄し、丸投げしてしまっているのだから。

著者の主張の変遷

前項で同著のタイトルの崩壊について指摘したが、全体を通してみても同著は主張の変遷が激しいといえるような構成になっている。

 

ただ第一章から第六章中盤までは至って論理的で筋が通っている。とある会社の甘えの診断基準なる独自の(?)診断を発端に前述した主観至上主義やストレス神話、裁判事例による変化に至るまで「うつは病気か甘えか」について幅広い視点から考察されている。六章中盤まで読んだだけだったら私もこんな書評は書かなかった。

問題は第六章終盤からだ。

第六章終盤で著者は

この章の結びとして真の精神科診断学を紹介する。その患者の『うつ』が「病気」か「甘え」かを区別する方法を示して結ぶ

ことで締めようとしていた。

が、同著はここで終わらなかった。厚生労働省のとある文書を著者が発見したからだ。

それが以下の文章である

メンタルヘルス不調」

精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう

厚生労働省 「労働者の心の健康保持増進のための指針」より

これについて著者は10ページにわたって考察しているが、一言で言ってしまえば

メンタルヘルス不調とは、人間の心身の不調のすべてを含むもの。病気も甘えも含むもの。」

と著者は結論づけている。

この時点でタイトル『「うつ」は病気か甘えか。』の答えは出てしまった。

この国では「甘え」も「うつ」ということだと著者は結論付けたのだ。

この結論に至った時点で、同著はこのタイトルで出すべき本ではなくなった。もしくは出すべきではなかった。

そしてこの後、前述の「判断基準は社会常識で」につながっていく。

論理の破綻

ここまで同著のタイトル崩壊、主張の変遷について言及してきたが、論理ももはや破綻している。

同著は「現代のうつ病の中には真のうつ病でない「甘え」が数多く含まれている」ということを論じる目的で書かれたものだ。

しかし前述の通り、厚生労働省の「メンタルヘルス不調」によってその目的は見事に潰されてしまった。

その結果著者の主張は「判断基準は社会常識で」となってしまったわけだが、著者は続けてこうも綴っている。

私は診察室に戻り、ヒポクラテスの誓いにそった医療を続けたい。求められれば診断書を書きたい

と。

自ら

ヒポクラテスバイアスと主観至上主義によって本来うつとされないものまで「うつ病」とされている」

と言っておきながら

「求められれば診断書を書きたい」

と、診療方針・持論を180度変えているのだ。

厚生労働省の「メンタルヘルス不調」とヒポクラテスの誓いに従って考えを改めたのであろうか。

かと思えば、最終章でこうも綴っている。

今やうつ病心因性・内因性・器質因性の真のうつ病のみならず、悩みや甘えと言ったグレーゾーンのものまで含んでどんどんその範囲を拡大していっている。本書はそういったグレーゾーンの膨張を防ぎ縮める一因となることを意図したものである

と。

いやいやいや、第六章で自ら

「この国では甘えもうつとされている」

と結論付けていたではないか。

なのになぜ、最終章で「うつ病とされている『甘え』を減らしていきたい」と主張するのか。

第六章で

『「その患者の『うつ』が病気か『甘え』かを区別する方法を示して結ぶ」ことが当初の目的』

としていたではないか。

その「うつ」が「甘え」なのか「うつ病」なのかの区別方法を示すことが同著の目的ではなかったのか

書籍としての評価

ここまでくるともはや同著は書籍の体を為していない。一医師の日々の個人的な思いをそのまま綴っただけに過ぎない。

また「うつ病」という観点から見ても、個人の主観に基づく主張が多く、読む人によっては誤解を与えかねない内容である。

うつ病」を減らすというよりも、私が受けたように権力者に都合のいいように使われ、精神疾患で苦しんでいる人間をかえって追い込むような事態を助長しないか、読んでいて不安になってきた。

以上の点から、同著はやはり出すべきでなかったと結論付けざるを得ない。

 

読書のススメ 3冊目 銀行漫画から考える、住宅購入とローンについて

みなさんおはようございます、こんにちは、またはこんばんは。ガッツ(guts_0773)です。

昨日ニュースを見ていましたら


「住宅ローン減税控除縮小検討へ。家は今買うべきなのか?」

という見出しのニュースを見つけまして見ていたのですが、見ていて学生時代に受けた金融の授業で使っていた漫画の一コマを思い出したので、今日はその漫画のご紹介です。

 

講義を担当していた教授は元大手銀行の支店長を務めた方で

「この漫画は銀行の仕事と理想をリアルに描けている」

と言っていて、私も読んでお金の勉強になった本でもありますので共有したいと思います。

(ここまで書いててもうお分かりかと思いますが「半沢直樹」ではございません。)

新人信金マンの成長から学ぶお金と銀行業務の役割

今日ご紹介するのは、平井りゅうじ氏原作・北見けんいち氏作画の

「まいど!南大家信用金庫」

という漫画の第6巻です。

 

 

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主人公の新人信金マンの中井君の日々の銀行業務を通じて、「お金」のことや「銀行の仕事」について紹介する漫画なのですが、第6巻では住宅ローンを考えているお客さんが登場し、住宅を買うときの注意点が描かれています。

大事なのはいくらなら返せるか

この巻で中井君は住宅購入を考えているお客さんの借入計画を作成するのですが、年収に占める年間の返済比率は22%で、勤め先の信金の基準はクリアしているのですが、支店長さんに

「もう一度返済可能額を計算しなおしてみなさい」

とやり直しを命じられます。

そこで改めて税金や保険料、生活費や教育費等々を引いていくと、生活を切り詰めてもローンの支払い金額がギリギリで、下手すると生活が困窮する可能性もあることがわかり、融資はお預けになってしまいました。

お客さんは何がなんでも持ち家を買いたいので他行でローンを組もうとしますが、漫画らしい展開で他行でローンを組もうとしていた矢先、勤め先の会社が不況による給料カットで年収が下がることになり、お客さんも住宅購入を諦めることになるという結末を迎えます。

 

このときのエピソードに出てくる名言が見出しにも使わせていただいた

大事なのはいくら貸せるかちゃう!!毎月いくらやったら返せるかや!

平井りゅうじ氏原作・北見けんいち氏作画 まいど!南大家信用金庫 第6巻より)

という言葉です。

たまにニュースのドキュメントコーナーなんかでもよく見ますが

「住宅を買ってローンが支払えずに家族関係が破綻し家を売ることになった」

なんていう話の原因の一つにはこの言葉が関係しているのではと思っています。

私が思う日本人の住宅に対する意識の不思議

この漫画から学んだことに限ったことではないのですが、私がいつも思うのは

日本人はなぜこうも一軒家を持つことにこだわるのか?

という点です。

家電屋時代にお客さんに

「金がないから安うせい。もっと値切れ。」

「この商品に買う価値があるのか?値段に見合うだけの価値がるのかしっかり説明してほしい」

と耳にタコができるぐらい言われましたが、そんな方々もどういうわけか住宅を買うときはなんの疑問も持たず

「買う」

一択なのが不思議でなりません。

なぜウン千万もする人生で最も大きな買い物を、慎重に吟味することもなく決めてしまうのでしょうか?

同僚の気になる言葉

以前の勤め先の同僚が結婚すると同時に建売の家を購入しました。

理由が

「調べたら賃貸に住んで家賃を払うのも、ローンを返すのも金額が大して変わらなかった。賃料払うのもローンを払うのも結局は同じ金額の金が出ていくなら、家を買ったほうが特。財産にもなるし。」

とのこと。

ですがここでさっきの

「いくらなら返せるか」

という言葉を思い出してもう一度考えてみてほしい。

賃貸ならかかってくる費用は共益費や駐車場代を含めた家賃と任意で入る火災保険くらいですが、家を買う場合はそんな単純なことでは済みません。

土地建物を購入すれば固定資産税がかかってきますし、不慮の事故等に備えて火災保険等にも入る人もいるでしょう。

またメンテナンスも定期的にしていかなければならず、外壁・屋根は10年に一回、20年〜30年くらいしたらリフォームも必要になってきます。

賃貸であればその辺りの費用は大家さんと管理会社持ちですが、持ち家なら全部自腹です。

また漫画の中のお客さんのように給料が減らされてしまった場合、賃貸なら賃料の安いところに引っ越したりすれば良いですが、持ち家は何があろうと一度ローンを組むと容赦無く毎月一定額を持っていかれます。

もし払えないなんてなったら最悪の最悪は財産差押の競売行きです。

また金額もバブル期でも無いので、間違いなく買った値段よりもずっと低い金額になります。

以上の点から元同僚の考えは現実離れしていると言えます。

「今なら」ではなく「これから」のことを含めて決める

漫画の中のお客さんとの会話の中でも出てくるんですが

「例え今は払えたとしても将来的に払えなくなるような不安があるなら無理して買うべきでは無い」

というのがこの漫画の存在を教えてくれた教授の言葉であり、私の意見でもあります。

さっきの同僚の話でいくなら、持ち家を買うことに対して発生する費用に加えて、将来的な不安要素も考えなければなりません。

 

先ず考えなければいけないのが、経済的不安についてです。

 

漫画に出てきたお客さんのようにいつ景気が悪くなって給料が減らされるか、現代社会は全く予想がつきません。

いつ給料が減らされるのかという点に加え、社会情勢がどうなるかという点もあります。

特に日本は年々社会保障や消費税をはじめとした各種税金は上がり、加えて世界経済の停滞による物価上昇も止まらない状況です。

一方で日本経済はこの30年ずっと停滞し、賃金も横ばいのままです。追い討ちをかけるように多くの企業がコストカットのために正社員を減らし、派遣などの非正規労働者が増える一方でもあります。

 

そしてもう一つ考えなければいけないのが養育費、子供についてです。

 

「子供には子供の望む通りに人生を歩んでほしい」

というのが親心かと思いますが、残念ながら子供に対する費用も年々厳しい状況にあるのが今の日本です。

子供に対する国からの手当は年々減り続け、一方で学費は上がり日用品や制服、教科書といった備品にかかる費用は年々増していく。

このような状況で無理してでも家を買うことが果たしてプラスになるのでしょうか?

 

賃金は増えない、子供にかかる費用は年々上がる、税金などの必ず取られる費用も年々増えていく

 

という現代社会では

 

例え苦しくなって売却しても残っている限り返済の義務を負わされる住宅ローンは組むべきでない

 

無理をしてまで家を持つことにこだわらない

 

というのがよりベターな考え方では無いでしょうか?

そもそも住宅ローンが既に時代に合ってない

ここまでみてきてわかることは住宅ローンというのは

 

右肩上がりの給料・経済成長と終身雇用がセットになって初めて機能するもの

 

ということです。

その前提条件が崩壊した今、簡単に手を出して良いものではないと私は考えます。

貸す側の視点からもみて判断することがこれからは必要

ここまでの話をみてきてこの漫画に教えられるのは

 

お金を貸す側の視点からもみて家を買うかどうか判断しよう

 

ということです。

貸す側としては絶対に貸したお金は全額回収したいものです。

逆に言えば

 

自分は絶対に全額返せるだけの状況に今もこの先もあるのか?

 

ということを考えてほしいということをこの漫画から学ぶことができます。

 

今家を買おうとしている人は、メディアのいうことを鵜呑みにするのではなく、ぜひ一度立ち止まって自分の置かれている状況と将来の展望について考えた上で判断してほしいと思います。

気になった方はぜひご一読ください。

それではまた。

 

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なお、もらっていない、平井氏からも、北見氏からも、小学館からも、一円も・・・・・・・。

読書のススメ 2冊目 カバチタレ!に学ぶ、社会人の勉強科目「法律」の話

おはようございます、こんにちは、またはこんばんは。ガッツ(@guts_0773)です。

本日取り上げる本は漫画です。

 

「漫画は読書じゃない」という方もいるかもしれませんが、歴史漫画で社会科の受験勉強したり、古典の要約漫画で古文の予習するのもメジャーになってきてる昨今なので、どうかそこは多めに見て下さい。

それに一口に漫画と言っても下手な実用書よりも実用的なものや、社会情勢を的確に表現している漫画もあるので、題材や表現内容をしっかり選べば下手な活字本よりも有益なものもあります。

特に今回取り上げる「法律」は、難しい用語だったり我々に馴染みのない分野だったり、なかなか身近に感じることの少ない分野でもありますので、漫画の方がかえってとっつきやすかったりします。

今回取り上げる漫画も原作者は現役の行政書士ですし、内容も漫画化にあたって多少の誇張と一面的な法解釈も見られる場面もありますが、現実の法に乗っ取って書かれています。

より身近に分かりやすく「法律」を知ることができると思います。

 

前置きが長くなりましたがそれでは行ってみましょう。

知らないと損する法律の世界

今回取り上げるのは田島隆氏原作・東風孝広氏作画の

カバチタレ!」の第一巻です。

 

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紹介するのは第一巻ですが、一番読んで欲しいのは第一話です。内容としては

ビルメンテナンス会社に勤務していた主人公の田村君は、とあることから会社をクビにされ、しかも社内規則を楯に給料等々一切を支払われずに無職となってしまいます。

スナックでヤケ酒を飲んでいるところに行政書士の大野先生が来店し、ふとしたきっかけで事の顛末を話し、大野先生が法律違反を知り田村君に内容証明郵便を作成。その内容証明により田村君は無事給料を手に入れることができ、それをきっかけに法律職の世界へと進んで行く

という感じです。

 

田村君は幸運にも法律職の大野先生に出会えたおかげで給料を取り戻せましたが、現実世界ではこんなラッキーな出会いは先ずありません。

そう言った意味では法律を知っておくことに越した事はないのです。知っていれば解雇されたしに交渉して給料を払わせる事が出来たわけですから。

 

明日は我が身の現代社

「労働者は法律によって厚く保護されている。今までも大丈夫だったから法律なんて知らなくても問題はない。」

 

と言う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし一年半前の2020年の春、新型コロナウイルスの影響により多くの企業が休業や廃業を余儀なくされ、多くの労働者(特に派遣社員などの非正規労働者)が解雇や雇い止めに合うなど厳しい状況に立たされました。

そんな職を失った人の中には、申請すればコロナの特別措置法の対象でお金が貰えた方もいたり、中には不当解雇にあった方もいた事でしょう。ですが知らないがために生活が困窮する方もいたのではないでしょうか?

筆者自身もコロナ解雇を装った退職勧奨で酷い目に

ここからは私の体験談。

見出しにもあるように、私自身もコロナで解雇された人間の一人です。

 

私の場合要因として

①業務成績が悪かった

②会社がコロナで不景気で人件費を削りたがっていた

③直前にうつ病を発症し休職の診断書が出ていた

のが三点が解雇に繋がった要因でした。

 

(※以下に述べる法的内容等は私が自分で調べた上での結論になりますので、全ての方に適用されるとは限りません。あらかじめご了承ください。)

 

①に関して言えば業務成績や勤務態度が悪いことを理由に解雇すること自体は可能です。

しかし、その場合もいきなり解雇にはできず、配置転換をしたりして本人の成長を促したり、注意や指導を再三行っても改善されず、減給や出勤停止等の処置を取ってもなお改善されないなど、あらゆる手を尽くしてもどうにもならなかった場合でないと解雇権の濫用になる場合が多いようです。

②に関しては明らかな会社都合の「解雇」です。

③に関しては結論から言えば、うつ病を理由にするのは不当解雇になる可能性が高いです。休職等の就業規則に則った対応をし、その上で治癒しなかった場合には就業規則に則っての退職というのは認められていますが、いきなり解雇にするのは裁判になった際に認められない可能性が高いようです。

 

で、私がどのような対応を受けたかというと、事務所から言われた言葉が

「うちの就業規則では1ヶ月で復職できなかった場合は自動的に退職になる。しかし、うつ病を1ヶ月で治せるのか?君は普段の業務成績も悪いし、1ヶ月で復職して今まで以上の成績が出せる保証はできるのか?もう君は進退を考えた方がいいんじゃないか?数日考えて答えを出しなさい。」

というものです。

これは退職勧奨(昔で言うところの肩たたき・人員整理)に当たります。これに応じてしまうと自己都合退職になり、雇用保険の支給期間が短くなったり、支給までの期間に制限をかけられたりして、労働者には非常に苦しいです。

本来であれば退職勧奨を拒否し、就業規則に則って休職し、1ヶ月後に自動退職という形を取るべきなのですが、会社のコロナ不況で一刻も早く少しでも人件費を削りたい思惑をうつ病で低下した思考力では見抜けず、加えて退職勧奨という概念を知らなかったのもあって、受けれてしまったのです。

そのため、私の離職票には自己都合退職と記載されてしまいましたので、ハローワークで「退職事由の異議申し立て」をして訂正の申請をする羽目になりました。

(この異議申し立ては通らない場合もあるのですが、私の場合うつ病の診断書があったのでやむを得ない事情での退職扱いにしてくれて、無事支給期間の制限は免れました。)

社会人になったら法律の知識を身に付けよう

労働者にとっては雇用問題が一番多いトラブルかと思いますが、他にも仕事をしている際に不当な要求を受けたことを法的に解消したいとか、ハラスメントを受けた際に責任を相手側に認めさせたいなど、社会活動を進める上でのトラブルを回避、解決するためにも法律の知識は必須と言えるでしょう。

少なくとも

民法

・商法

労働基準法

の知識は社会人ならある程度必要かと思います。

 

「勉強は学生時代で終わり。社会人になったら業務に必要な知識を身につければ他は勉強しないで良し」

では済まないと思います。

世の中は法律を基に動いているのですから、世の中の元となっている法律を社会に出たら勉強する必要があるのではないか。

カバチタレ!シリーズはそう言ったことを痛感させてくれる本であると思っています。

皆様も身近なところから、どんなきっかけでも良いので法律を勉強し、さまざまなトラブルから自身の身を守り、現代社会を生き抜いて行っていただけたらと願います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、貰っていない、講談社からも、田島氏・東風私からも、一円も・・・・・・・。