「早生まれの不利は大人まで続く」に物申す
皆様こんにちは。ガッツ(@guts_0773)です。
昨日に引き続きうつ病のことについて書こうかと思っていましたが、Twitterを見ていたらトレンド欄に
「東大大学院教授『早生まれの不利は大人まで続く』研究結果発表」
の見出しがあって、私早生まれなので読んでみましたが色々と突っ込みたいこと満載でしたので、今日はこの研究結果に私的愚見を述べさせてもらおうと思います。
不利かどうかの判断基準は何なのか?
先ずはNewsポストセブンに記事からにはなりますが、該当研究結果の概要をご覧ください。
http://www.news-postseven.com/archives/20200818_1586893.html
私がこれを読んで思ったことが
「不利・有利の判断基準を何でもって行っているか?」
と言う点です。
と言うのも、「差が出てくる」根拠として挙げられているのが
・偏差値
・進学先
・就職先
・所得
のみで語られていたからです。
「学校でしっかり勉強して良い大学に進学し一流企業に就職し高い報酬を得る。」
ことが唯一絶対的なゴールかのように書かれている気がしてならないのです。
果たしてそうでしょうか?
まぁ確かにお金がなきゃ世の中どうにもならないことが多い現代ですので、全否定をする気は全くありません。
じゃあ金持ちになれなければ、一流企業に行けなければ負けなのか?
答えは『NO』です。
大企業に勤めてたって鬱になって辞めていく人もいますし、最近だと若手官僚にアンケート取ったら7人に1人が
『2〜3年以内に辞めたい。もっとやりがいのある仕事につきたい。』
と回答したなんて記事もありました。
そんな人たちに対して収入は落ちるけども、毎日充実して仕事をしている個人事業主の人や優良中小企業の従業員なんていっぱいいると思います。
果たして彼らは自分たちにことを
「不利な人生だった」「不幸だ」
なんて思っているでしょうか?
ここでも答えは『NO』だと思います。
そう言った点から考えてもこの研究結果の前提にあるのが、一昔前に流行った
『勝ち組・負け組』
論争だと思われます。
私のブログで何度も言ってますが、様々なことが多様化している現代において一つの価値観に囚われるのは最早時代遅れです。
「早生まれの不利は大人まで続く」
と言う結果は
『経済的勝ち組』
と言う点では的を得た研究結果ではあるとは思いますが、だからと言ってそれが絶対的心理・絶対的真実と言うのは、あまりにも狭い物の見方で前時代的だと私は思います。
「早生まれがリーダーに」は現場を見てから言え
この記事の最初にある
学年内で“最年長”の4月生まれの子供は相対的に体格がよく、勉強やスポーツに秀で、リーダー的な存在になりやすい
(NEWSポストセブン記事より)
と言う一文ですが、皆さんの学生時代、特に小学校・中学校時代を思い出してみてください。
この理屈で行けば相対的ではありますが
・クラスで勉強できる子は4月生まれ
・一番運動のできる子は4月生まれ
・クラスのリーダー(学級委員など)は4月生まれ
が多いと言うことになりますが、果たしてそうでしたか?
大体の人が
「そうでも無かった」
と言うと思います。
早生まれでも勉強できる子も勿論いたでしょうし、4月生まれでも勉強が苦手な子もいたでしょう。
運動に関しては体の成長の部分に関しては、4月生まれの子の方が体が大きくなりやすい一面はあるでしょうが、だからと言ってそれが直接差につながるとは限りません。元々生まれ持った素質の部分もあるでしょう。
極端な話最年長が一番になりやすいと言うのなら、3月生まれの子が一個下の学年に行ったら相対的に一番になることが多くなると思いますが、おそらくそうはいかないと思います。残念ながら、生まれ持ったものやそれまでの環境でそうはいかない部分の方もあると思います。
あと私が一番突っ込みたいのがこの
『リーダー的存在になりやすい』
と言う点。
みなさんが学生時代の時って成績優秀者やスポーツ万能の子ってクラス委員とかやったり、行事の際にリーダーシップ取るようなことしてました?
残念ながらそうでは無かったと言う方の方が多いと思います。
特にクラス委員なんていつも勉強もスポーツも関係なく、投票とかになって同じ子が毎回やるか名前が上がるなんてことありませんでしたか?
なぜこんなことを書くかと言うと、私が
・早生まれ(3月生まれ)
・成績は中の下くらい
・スポーツは苦手
なのに、毎回クラス委員とか委員会のリーダーの話になると真っ先に名前が上がり、何度も多数決で選出されて、やりたくもないのにやらされたからです。
他のクラスとか下の学年でも同様で、大体クラス委員とかになる子って成績とか関係なしに選ばれることが多かった印象があります。
結局学生時代なんてみんなリーダーなんてやりたくないから
「適当なやつに押し付けてやらせるもの」
でしかないんです。私の経験上。一種のいじめと思ってもらっても良いでしょう。
この東大教授がどこの学校を対象にして調べたのかは知りませんが、少なくとも私が生まれ育った地域ではこんな感じでした。そこから考えられることは、この教授が調査したのはいわゆる『有名私立のエリート校』だけだったんじゃないだろうかと言う疑問があります。
そう言ったエリートの集まりなら勉強もスポーツも優秀で自信のある子が率先してリーダーになっていくのかもしれませんが、少なくとも私の経験上、特に田舎の公立の学校なんかはそうはならないのではないかと思います。
最年長の4月生まれは優秀でリーダーなりやすいと言うには、ちょっと調査の範囲も調査の仕方にも足りない部分があるのでは?と思います。
団体に属すること前提でものを書くのはやめて頂きたい
あとこの研究結果の中で気になったのが
認知能力とは、IQや学力テストなど頭の良さを指し、一方の非認知能力とは、「最後までやり抜く力」や「感情をコントロールする自制心」「ルールや約束を守ろうとする心」「他人と良い関係を築く力」など、社会性・情緒・内面の能力を指す。
「近年の研究で、社会的に成功する人は非認知能力が高いことがわかってきています。非認知能力の低い人は犯罪で逮捕される率が高く、収入も少ないという統計もあります。今まで認知能力に比べて軽視されてきましたが、実は非認知能力は非常に重要です。
早生まれの子供は、同じ学年の遅生まれの子供に比べて認知能力と非認知能力がともに低い傾向が強いのですが、親御さんは、目につきやすく対策のしやすい認知能力の向上に偏重した投資をしてしまうケースが多いのです」(山口教授)
(NEWSポストセブン記事より)
と言う一文。
・最後までやり抜く力
・感情をコントロールする自制心
・ルールや約束を守ろうとする心
・他人と良い関係を築く力
要はこれらって
『社会に出て団体・組織に属したときにそこで生きていくのに必要な能力』
ですよね。
じゃあこれら全てを備えてないと生きていけないんでしょうか?
私は三つ目の『ルールや約束を守ろうとする力』は全ての人に必要だと思いますが、後は人それぞれで良いと思います。
一つずつお話しします
①最後までやり抜く力
確かに途中で投げ出さず最後までやり遂げるのは立派なことです。ですが合わないことや、明らかにできないことをいつまでも無理してやることには私は反対です。
一つには、努力することが大事なんて言いながらも結局は世の中結果で全て判断されるからです。
最後までやり抜いたって結果が最悪なら問答無用でマイナスの評価をくだされます。
二つ目には、無理してやってもできないものに時間を掛けるぐらいなら、得意なことを伸ばした方が効率も良く時間も有効に使えて、本人のためにも良いからです。
私のことで恐縮ですが、モノづくりは好きだけど工場で働くことは合ってなかったのに無理して頑張って働いた結果、うつ病を発症しコロナ不況も重なって会社を解雇されました。
途中で無理してるなぁとも思っていましたが
「好きで選んだ道だから。途中で投げ出すのは良くない。」
と思って頑張った結果がこれです。
大体世の中を見てみても今や一つの会社に勤め続ける人の方が稀で、多くの人は途中で転職したり出向させられたりで本来自分が行きたかったコースから外れてしまい、様々なことを諦めないといけない人が多い中で、最後までやり抜く力が必ずしも必要でしょうか?
もちろん仕事など相手がいることは最後までやらないといけませんが、全てのことに対して
「最後までやり抜く」
ことは必ずしも必要なことではないと思います。
時と場合によっては
「逃げる勇気」
も必要です。
②感情をコントロールする自制心
感情をコントロールすることって必ずしも必要ですか?
時と場合にもよると思いますが、時には感情に沿って行動することも必要ではないでしょうか?
顧客から明らかに赤字になるような無茶苦茶な要求をされても
『お客様だから』
ってだけで我慢するべきですか?
明らかにおかしなことについては、キッパリと断って良いと思いますし、時には多少の感情を出すことも必要だと思います。
不快な感情を覚えたらきっぱりと断ると言うのはおかしいことですか?
③他人と良い関係を築く力
これって子供の場合だったら
「友達をいっぱい作る力」
ですよね。
でも皆さん学生時代に友達っていっぱい居ました?
学生時代の友人で社会人になっても付き合いのある友達って今何人居ます?
友達は多くても仕事で取引先の人と仲良くなれず上手くいかない人だっているでしょうし、逆もまたいるでしょう。
他人と良い関係を築くのって
『コミニュケーション能力』
の影響が大きいと思うんですがそれは生まれた月が大きく関係することでしょうか?
ほとんどは育ってきた環境によるものだったり、元々の性格だったりの部分が大きいと思います。
あと人によって合う人・合わない人あると思いますが、それってコミュニケーション能力だけで決まるものでしょうか?
私が訪問販売の会社にいた時は同じお客さんでも、コミニュケーション能力が高い人が行っても無反応なのに、コミニュケーション能力が高いとは言えない別の人間がいくとなぜか話が弾むなんてこともありました。
そもそもこの
「他人と良い関係を築く力」
って漠然としすぎてる気がします。
色々な要因が重なって人間関係って構築されていくと思うので、これに関しては
「何を持って『他人と良い関係を築く力』としているのか」
を具体的にはっきり示す必要があると思います。
結局①〜③まで見てきて私が感じたのが、ここで言われている能力というのが
「企業に属してそこで円滑に仕事をするために必要な能力」
ということです。
ですが特に今のこのコロナ渦の世の中で、企業に属して仕事をする能力は果たして必須と言えるのでしょうか?
昨年の増税と昨今のコロナ渦で中小企業はどんどん潰れてますし、解雇も今度ますます増えるでしょう。再就職しようにも就職先がない・年齢制限で弾かれたなんてことがあったりしてできないことも多いです。
また生き方も多様化してます。
インターネットを使って個人で商売して生きている人も増えてきています。
そんな状況下で求められるのは「企業に属して円滑に仕事をして生きていくための能力」ではなく
「独りで変化の激しい時代を生きていく能力」
ではないでしょうか?
それに必要なのは
・約束を守ること
・コミニュケーション能力
・自分の頭で考え判断すること
だと思います。
結局はエリートのための研究結果
結論から言ってしまえばこの研究結果は
「社会のごく一部のエリートを対象としたエリートのための研究」
であると私は思います。
記事を読んでいても
『大企業に属している人で、そこで上手く行っている人を調べてみたら早生まれが少なかった。』
ということから
『早生まれの不利は大人まで続く』
という結論に至ったのではないかとしか思えないからです。
また途中で出てきた
「学校でのリーダーシップ」
という点でもごく一部の偏った調査をして、現場全体の状況をきちんと取材していないのではないかと思います。
途中にも書きましたが今や学の現場ではリーダーは
「率先してやるもの」
ではなく
「適当なやつにやらせるもの」
になってしまっているところが多くあります。
エリート校以外の現場もきちんとみていれば、こんなことはすぐわかる事だと思います。
今求められるのは99%のための研究
今の日本の状況を考えたときに必要とされるのはこのような1%のエリートのための研究ではなく、残りの99%の非エリートの人間に対する研究です。
なぜならば社会を支えているのは、圧倒的多数の99%の非エリートの人たちだからです。そしてそのような人たちに求められているのは、この不確定で不安定な世の中を生き抜いていく力と方法です。
当該研究をされた教授は「労働経済学」がご専門とのことですが、であるなら尚更日本の未来の為にも、圧倒的多数の非エリートの人たちに対する研究をして頂きたいと思います。
そしてまた我々も、このような時代で生きていく為の情報を生き抜く為の取材や記事を書いてくれている、ライターさんや研究者を見つけ支援していく必要があると思います。
長文にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。